「命を救う」その先には、 集中ケア認定看護師たちが向き合うリアルな葛藤があります。
今回は、集中ケア認定看護師のお二人にお話を伺いました。

集中ケアを目指した理由

私が集中ケアを選んだのは、「廃用症候群」を何とかしたいと思ったことでした。

病気そのものは改善しても、長期入院によって筋力低下や認知機能低下、せん妄などが起こり、元の生活に戻れなくなる患者さんを多く見てきました。
「早期からの看護介入で防げることがあるのではないか」と考え、集中ケアを専門的に学びたいと思いました。
現在取り組んでいるPICSカンファレンス(※PICS:集中治療後症候群)も、そうした問題意識につながる活動の一つだと感じています。

前職は三次救急の病院で、循環器病棟やICUを経験し、患者さんの命を救うことに全力を尽くしてきました。
一方で、患者さんやご家族の思いに十分向き合えていないのではないかと感じる場面もありました。

もっと患者さんの生活や、その人らしさを考えながら看護に関わりたい。
その思いを実現できる環境を求め、当院で新たな一歩を踏み出しました。

認定看護師を目指したきっかけは、後輩育成を任されたことでした。
自分自身が集中治療を十分理解したうえで伝えられているのか自信がなく、さらに学びを深めたいと考え、必要な5年間働いてすぐに取りに行きました。
一方で、早い段階で専門分野に進んだからこそ、退院支援や在宅支援など、他領域の経験不足を感じることもあります。さまざまな経験を積んでから、専門性を深める道もあったのかな、と感じることもあります。

大切にしていること

ICUは、患者さんやご家族にとって、不安の大きい場所です。だからこそ「ここで治療を受けてよかった」と思ってもらえるよう、安心感や、信頼感を大切にしたいと思っています。
また、緊張感のある現場だからこそ、自分が動揺を見せないことも意識しています。急変時であっても順序立てて考え、落ち着いて対応することを心掛けています。その姿勢が患者さんや周囲のスタッフの安心につながると思っています。
スタッフとの関係においても、相談のしづらさから独断で行動してしまったりすることがないように、上下関係より「相談しやすい関係」を大事にしています。後輩たちも気さくに話しかけてくれて、すごくありがたいことだなぁと思っています。
わからないことを一緒に考えられる雰囲気が、結果的に患者さんへのより良い看護につながると思うからです。

自分との向き合い方がかなり大事になるかなと思います。

救急・集中領域は、患者さんにとって病院の入り口であり、最後の砦にもなります。どんな状況であっても、私たちは病院で働く身として、逃げることは絶対にしません。
自分たちの身を守りながら、やるだけ。どうやったらそれができるのか、みんなで話し合って、力を合わせて乗り越えてきたと思っています。

気持ちが折れてばかりもいられないという感覚はあります。
折れていても行かなきゃいけない状況だから、行き慣れていくしかない。あとは自分でどう消化するかですよね。周囲を変えることは難しいので、自分自身の捉え方や行動を変えていくことが大切なのかなと思っています。

チームでの取り組みについて

ICUでは、治療方針や意思決定支援など、倫理的な課題に直面することが少なくありません。患者さんやご家族の希望、医療者としての考え、それぞれの思いが交わる中で、何が患者さんにとって最善なのかを多職種で話し合っています。必要に応じて臨床倫理の分析ツールも活用しながら検討を重ねています。

これまでには、患者さんの意思決定支援をテーマに、院長も含めた院内で臨床倫理カンファレンスを実施したこともありました。それが私はすごく良かったなと思っていて。
患者さんが本当に望んでいるのかというのはいつも悩むところなんですね。終末期に向かう患者さんに対し、やることが本当に集中治療なのか、医療者自身も悩みながら向き合っています。

後輩へメッセージ

私は早い段階で専門性を深める道を選びましたが、今振り返ると、より幅広く指導できるようになるために、いろいろな経験を積んだ方がいいかな、と思います。
退院支援や在宅に関する支援など詳しくない部分も多くて、できないことを他職種や他部署に支えてもらっていると感じる場面もあります。
そのため、まずは幅広い経験を積み、その中で興味ややりがいを感じた分野があれば、専門性を深めていくのも良いと思います。

無駄なことは何もないし、認定が取れる5年目はバリバリしている時期だから、その時に知識や技術を身に着けて、その後の経験で肉付けをしていけばいいだけ。
5年で認定を取るのも全然いいと思います。
経験を積んでいくと、いろんな滝に打たれていくから大丈夫だと思います。ただ、流されないように、自分をしっかり自分で支えていくことが大切。
集中ケアの領域はICUだけでなく、病棟などでも応用できるので、病棟からも目指す方が出てきてくれたらうれしいですね。

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