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すい臓ドック

すい臓ドック -MRIを使用したドックです

膵臓がん(すい臓)は、進行するまで症状が出にくく、早期発見が難しいため、5年生存率が8.5%と極めて低い疾患です。膵臓がんは病気の経過が極めて悪い疾患ですので、早めのドック受診をお勧めします。


すい臓ドックでは腹部超音波検査とMRCP検査との2つの画像検査を行うことで膵臓をより詳しく観察します。膵臓がんと診断される人は年々増加傾向にあり、また1年間の死亡数は全がん死亡の中でも第4位と悪性度の高い病気です。 膵臓がんは初期に特異的な症状に乏しく、症状がでてから発見される段階ではすでに進行がんであることが多いのが現状です。
一方で、膵臓がんを発症しやすい危険因子が指摘されており、また膵臓の細胞が癌になる遺伝子変異をおこしてから進行がんとなり致命的となるまでの期間は10年から15年と長い期間があります。
すい臓ドックは危険因子の多い方に受けていただき、進行がんに至るまでに確認されることの多い画像所見をみつけることで早期に診断し治療へつなげることを目指す検査です。

すい臓ドックを受けていただきたい方(膵臓がんの危険因子)

 □血縁者(両親・兄弟・姉妹・子)に膵臓がんになった人がいる方
 □糖尿病の方(特に初めて糖尿病と診断された方、血糖コントロールが急に悪化した方)
 □毎日の飲酒量が多い(ビール900ml、ワイングラス3杯以上)
 □喫煙している又は喫煙していた方(本数・期間が多い方)
 □肥満の方(BMI値が30㎏/㎡以上の方)
 □慢性膵炎の方

コース

すい臓ドックコース 所要時間 料金(税込)
ベーシックコース 1~2時間 ¥49,500
シンプルコース 1~2時間 ¥30,800

(2024年1月)

検査項目

検査項目 ベーシックコース シンプルコース 検査概要・検査の説明など
MRCP検査
(MR胆管膵管撮影)
MRCPは膵臓・胆道系に特化したMRI」の撮影方法です。経口消化管造影剤を使用することで、膵管・胆のう・胆管を見やすくします。膵臓をくまなく観察でき、奇形や膵炎、膵癌も発見できます。
(MRCPの膵癌に対する感度は約90%と報告されています)
腹部超音波検査 超音波検査は偶発症がなく、膵臓の検査では非常に大切な検査となります。他の臓器(肝臓・胆嚢、脾臓、腎臓)も観察いたします。膵臓は非常に奥まったところにあるため、超音波検査で膵臓をくまなく観察することは非常に難しいのが実情です。観察しづらい部分についてはMRCPで補完します。
身長・体重・BMI・肥満度・体脂肪率
空腹時血糖・HbA1c
血液検査
P型アミラーゼ、リパーゼ、
トリプシン、エラスターゼ1
膵臓に特異性の高い酵素であるP型アミラーゼ、リパーゼ、トリプシン、エラスターゼ1 検査を実施します。画像検査と併用して実施することで、より膵臓の状態を把握することができます。
腫瘍マーカー
CEA、CA19-9、SPan-1、
DUPAN-2
CEA、CA19-9に加え、他のドック内容にはないSPan-1、DUPAN-2の検査を実施します。

ご予約について(お電話にてお願いします)

TEL : 0570-08-2211

 (平日10:00~16:00)

すい臓ドック(MRCP検査)受診の方へ 膵臓機能・健診結果の解説

膵臓の位置、構造

膵臓はみぞおちの高さで、胃と脊椎(背骨)との中間に位置します。おたまじゃくしのような横長な臓器で、おたまじゃくしの頭の方(身体の右側)から頭部・体部・尾部に分けられています。膵頭部は十二指腸に接し、膵尾部は脾臓に接しています。膵臓の長径は15~20cm、厚さは頭部で3~4cmですが、尾部にむかうにしたがい菲薄となります。重量は成人で85~120gですが、40歳代以降は次第に萎縮して小さくなります。
膵臓の内部には細長く網目状に走る膵液の通り道「膵管」があり、それらが合流して「主膵管」を作ります。膵頭部では肝臓からでた胆汁が流れる「総胆管」という管があり、主膵管と総胆管は十二指腸乳頭部で合流し十二指腸に注ぎます。膵管が腫瘍などによる狭窄や閉塞で膵液がうっ滞すると膵炎様の症状(腹痛や血清アミラーゼなどの膵酵素上昇)を呈することがあります。

膵臓の働き

膵臓の機能には「外分泌機能」と「内分泌機能」があります。
外分泌機能ではアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンといった食べ物の消化を助ける消化酵素をつくり、膵管から十二指腸へ分泌します。1日に800~1000mLの膵液が分泌されます。消化酵素の産生量・分泌量が何らかの原因(膵炎や腫瘍など)により減少すると、食べたものを効率よく消化することができなくなり栄養素を体に取り込む力が低下します。その結果、低栄養となり体重減少・全身倦怠感などの症状がみられることがあります。内分泌機能ではインスリン、グルカゴンなどのホルモンを産生し血中に分泌します。 インスリンは血糖を下げる働きをする重要なホルモンです。
膵癌や膵炎でインスリンを産生する細胞が傷害を受けるとインスリン産生量が減少し糖尿病を新規に発症することや、治療中の糖尿病が急速に悪化することがあります。
腹部超音波検査では0.1mm単位での細かい観察が可能です。しかし消化管のガスや体型などの影響で描出が不良となる部分が生じることがあります。
MRI検査では消化管ガスの影響はなく、超音波検査と比較して膵臓の全体像を把握しやすいという特徴があります。 MRCP(Magnetic Resonance Cholangiopancreatography)検査ではMRI装置を用いて胆嚢・胆管・膵管を同時に描出する検査です。

【腹部超音波検査画像】
【腹部超音波検査画像】
【MRCP検査画像】
【MRCP検査画像】

膵癌は多くは膵管の細胞から発生します。初期の膵癌(上皮内癌)は大きな腫瘤という塊を形成する以前の段階です。その段階でも膵管の狭窄およびその上流の尾部側の主膵管拡張がみられることがあります。腹部超音波検査やMRCP検査では膵臓の腫瘤の発見だけでなく、膵管に生じた微細な変化を観察することで膵癌の早期発見につなげます。

【膵臓がんの危険因子】

家族歴
(第1度近親者に膵癌罹患者がいる)
□2人以上 □1人 □なし
喫煙歴
(本数・期間と相関します)
□あり  □なし
多量飲酒
(1日3合以上)
□あり  □なし
糖尿病 □あり  □なし
肥満
(BMI 30kg/m2以上)
□あり  □なし
慢性膵炎 □あり  □なし

「あり」の項目が多い方は膵癌発症リスクが高い方です。
特に家族歴では、膵癌になる危険性は、第1度近親者(両親・兄弟・姉妹・子)に膵癌患者が1人いると4.5倍、2人いると6.4倍、3人いると32.0倍以上になると言われています。

検査成績表の解説

検査項目 解説
BMI 国際的な肥満の指標であるBMI( Body Mass Index )は、体重(㎏)÷身長(m)2の値です。基準値は18.5~24.9です。22のとき高血圧症・脂質異常症・肝障害等の有病率がもっとも低くなるとされています。しかし、BMIには内臓脂肪が表れにくいという欠点があるため、メタボリックシンドロームの判定基準には腹囲が用いられています。
糖検査 血糖 血糖とは血液中のブドウ糖のことです。空腹時血糖が高値の場合、糖尿病、膵炎、肝炎などの疑いがあります。低値の場合、肝硬変やインスリノーマの疑いがあります。
ヘモグロビンA1c ヘモグロビンA1cは、過去1~2か月間の血糖の平均値を表しています。高値(6.5以上)の場合、糖尿病や腎不全の疑いがあります。低値の場合は肝硬変、溶血性貧血などが疑われます。
膵機能 エラスターゼ1 タンパク分解酵素の1つで膵臓に含まれる量が最も多い酵素です。急性膵炎、慢性膵炎急性増悪などで高値を示し、症状の回復と共に正常値に戻る傾向が見られます。膵癌では膵体尾部癌や全体癌では正常範囲かやや高値を示しますが、膵頭部癌では高値の傾向があります。他の膵酵素に比べ血中半減期が長いので、いったん上昇すると他の膵酵素が正常化した後も高値が遷延するため、膵癌などによる一過性の膵管閉塞を検出できることがあり、膵癌のマーカーとしても用いられます。
トリプシン 膵臓から分泌されるタンパク分解酵素の1つです。膵臓以外の臓器には存在しないため膵特異性はアミラーゼやリパーゼよりも高い酵素です。血中トリプシンの測定は膵臓の炎症と腫瘍、膵管の閉塞、膵臓外分泌機能の残存量などの指標となり、膵臓疾患の診断、経過観察などに利用されます。
P型アミラーゼ アミラーゼはデンプンを分解する酵素です。血中アミラーゼには膵臓由来のP型と唾液腺由来のS型が存在します。急性膵炎では発症後24時間以内に急速に増加し、時間の経過とともに尿中に排泄され回復すれば数日で基準値に戻る場合が多い酵素です。
膵リパーゼ 膵腺房細胞で合成され膵液中に分泌されるタンパク質で、脂肪の分解に働く酵素です。膵管の狭窄・閉塞による膵液のうっ滞または膵臓組織破壊が存在すると血中へのリパーゼ逸脱が増加するため主に急性・慢性膵炎などの膵疾患の逸脱酵素として診断に用いられます。進行した慢性膵炎では膵機能の低下のため高値にならない場合もあります。
膵酵素は腎不全では腎臓からの排泄減少により血中にうっ滞するため、高値を示すことがあります。
腫瘍マーカー 悪性腫瘍(がん)が進行すると普段はほとんどみられない酵素やたんぱく、ホルモンなど特殊な物質が血液中で増加することがあります。これらを腫瘍マーカーと呼び、スクリーニング検査として用います。ただし、がんがあっても検出されなかったり、がん以外の疾患でも増加することがあります。各腫瘍マーカーにより疑われる代表的な疾患は以下の通りです。
CA19-9 膵臓がん、胆道がん、胃がん、大腸がんなど
CEA 胃がん・大腸がんなどの消化器がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、肝硬変など
SPan-1 膵癌、胆道癌、肝細胞癌などで高い陽性率を示します。肝硬変症、慢性膵炎などの良性疾患でも高い陽性率を示しますが、100u/mL以下の低値が多く、また慢性膵炎での陽性率は低いマーカーです。
DUPAN-2 膵癌、胆道系癌、肝癌で高い陽性率を示し食道、胃、大腸などの消化器癌で陽性率が低い腫瘍マーカーです。また膵炎では急性・慢性を問わずほとんどが低値であるため、膵癌や胆道系癌が疑われた場合、良性疾患との鑑別に補助として有用です。