糖尿病・内分泌内科では、抗肥満症薬「ゼップバウンドⓇ(一般名:チルゼパチド)」および「ウゴービⓇ(一般名:セマグルチド)」を用いた肥満症の保険診療を開始しました。
治療対象となる方(保険診療の適用条件)
以下のすべてを満たす方が対象です。
【1】BMIが27以上で、生活習慣の改善のみでは十分な減量が得られていない方
※BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²

【2】高血圧、脂質異常症などの薬物治療を受けている、または治療を開始する予定の方
・BMI27~35の方
高血圧、脂質異常症に加え、下記の中にある健康障害の合併が必要です。
- 耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)
- 脂質異常症
- 高血圧
- 高尿酸血症・痛風
- 冠動脈疾患
- 脳梗塞・一過性脳虚血発作
- 非アルコール性脂肪性肝疾患
- 月経異常・女性不妊
- 閉経性睡眠時無呼吸症候群・肥満低喚気症候群
- 運動器疾患(変形性関節症:膝関節・股関節・手指関節、変形性脊椎症)
- 肥満関連腎臓病
・BMI35以上の方
高血圧または脂質異常症のいずれかがあれば対象になります
【3】投薬による治療を希望される方
想定される効果について
薬の効果には個人差がありますが、臨床試験において以下の結果が報告されています。
・ゼップバウンドⓇ(国内治験データ)
約90%の方が10%の減量、約50%の方が20%の減量を達成

・当院でも治療を開始(2025年4月より)しており、実際に10kg以上の減量をされた例もあります(効果には個人差があります)
このような方に治療をおすすめしています
・肥満による膝や腰の負担(関節痛)を感じている方
・高血圧、睡眠時無呼吸症候群、脂肪肝など、肥満に関連する疾患をお持ちの方
・食事、運動療法だけでは十分な減量が得られていない方
治療の進め方
・薬による治療を始める前に、まず半年間のトライアル期間を設けております。
この期間中、2か月ごとに医師による診察、および管理栄養士による栄養指導を受けながら、減量に取り組んでいただきます。
・トライアル終了後、基準を満たした場合に薬物治療(注射)を開始します。
治療期間は約1年半を予定しています。
治療費について(保険診療)
・保険適用(3割負担)の場合、月額15,000〜20,000円程度が目安です(薬剤費・診察料等含む)
詳しくは診察時にご説明いたします。
ご相談・お問い合わせ
・治療の対象となるかご不安な方は、糖尿病・内分泌内科外来までお気軽にご相談ください。
・初めて当院を受診される方は、紹介状または該当する健診結果の写し(BMIや関連疾患が記載されたもの)をご持参いただくようお願いいたします。
自由診療との違いはなんですか
保険診療ですので自由診療より負担額が少ないです。なお当院は、厚生労働省により本治療を認可されており、肥満症診療の経験豊富な医師、管理栄養士による治療を行います。
すぐにでも薬をはじめたいです
初めの半年のトライアルは厚生労働省による保険診療の規約となります。長期的にリバウンドなく薬物からの離脱を目指すためには食事、運動習慣の基盤づくりをしたほうが良いと経験的には思います。
費用はどれぐらいですか
保険適用(3割負担)の場合、月額15,000〜20,000円程度が目安です(薬剤費・診察料等含む)
詳しくは診察時にご説明いたします。
副作用が気になります
副作用の多くが吐き気や便秘などの消化器症状で、休薬すればほとんどの方は症状が消失します。経験的に継続不可能になるほどの副作用が出る方は全体の5%ほどです。
どうしてこの薬剤は体重が落ちるのですか
脂肪を溶かすわけではなく食欲を落とすことにより食事量が減り体重が落ちるといわれております。しかしそれだけでは説明できない効果もあるようです。
2種類お薬がありますがどちらでも選べますか
当院ではゼップバウンド、ウゴービどちらの薬剤も処方できます。どちらが向いているか患者さんの状態を見ながらご提案させていただきますが、ご自身の意向を最優先としております。
途中で治療をやめることは出来ますか
薬物導入前後にかかわらずいつでも治療中断は可能です。
自己注射は不安です
週に一回の注射で痛みも少ない治療となります。針が見えずに投与できる薬剤もありますので不安が強い方はご相談ください。
休薬後リバウンドしませんか
薬剤休薬後は食欲が増加することが多くリバウンドの心配はあります。1年半かけてリバウンドしにくい生活習慣を確立していきましょう。