
皮膚や排泄に関わるケアは、患者さんの生活の質や尊厳に直結する、大切な看護のひとつ。
今回は、皮膚・排泄ケア認定看護師として活躍する3名にお集まりいただき、認定看護師を目指したきっかけや日々の取り組み、そしてこれからの目標について語っていただきました。

褥瘡ハイリスクの患者さんを中心に予防ケアを行う

2025年4月から皮膚・排泄ケア認定看護師として専任で活動

泌尿器科病棟に勤務
週1回ストーマ外来も担当
認定看護師を目指したきっかけ

前の病院で看護師2年目の時に受け持った、高齢の男性患者さんとの出会いが、大きなきっかけです。
人工肛門を造設したものの装具が合わず、皮膚トラブルや漏れを繰り返し、「こんなことなら手術しない方がよかった。もう死んでしまいたい」と涙を流される姿に、私はただ悔しく、何もできない自分を情けなく感じました。その時、書店で見つけた“ストーマケア”の本がバイブルに。本に書かれているとおりにケアを試みると、症状が改善し、患者さんは笑顔で退院されました。
そんな姿を見て、「看護師としてちゃんと対応できる力をつけなくてはいけない」と強く心に刻みました

岩手の病院で6年間、新人時代を過ごしてから、ここにきました。
泌尿器科の患者さんのケアに関わる中で、必要な支援ができずに悔しい思いをすることも多くありました。ちょうどその頃、日本看護協会でWOC看護認定看護師教育課程が新設されると知り、「これだ!」と思いました。当時の看護部長の後押しもあり、迷わず挑戦を決めました。

泌尿器科へ異動し、日々ストーマケアに関わる中で、「これが私の進む道かもしれない」と感じるようになりました。尊敬する先輩WOCナースの存在も背中を押してくれました
教わるのは、いつも患者さんから

排泄障害の患者さんと長くお付き合いする中で、「温泉やプールに行けなくなった」「孫に抱きつかれても臭いと思われないか不安」など、切実な悩みを打ち明けてくださることがあります。
でも、こうした思いは家族にも言いづらく、話せる場がないのが現実です。
WOCナースとして外来で話を聴くだけでも、「心が軽くなった」と言っていただけると、こちらこそ支えになります。

最初の頃は「あなたがやると失敗する」と怒られることも多かったのですが…
徐々に「今日はまぁまぁよかったよ」と言ってもらえるようになり、信頼関係が少しずつできていきました。患者さんから教わること、本当に多いです。

ある患者さんに装具交換時の物品の持参をお願いしたら、大きなキャリーに山ほど荷物を詰めて来られました。必要以上の荷物に、どれだけ困って工夫されてきたかが伝わってきて。
もっと最初に、適切な知識や方法を伝えられていたら・・・と感じました。
だからこそ、私たちがきちんと伝えていかなければと思っています。
これからの目標

若い看護師さんたちに自分の経験や知識、技術を惜しみなく伝えていくことが大きな目標です。
そしてもう一つ、当院でストーマ造設手術を受けた患者さんたちと、これからも外来で関わり続けていくこと。年間125人以上の患者さんに、延べ400件近くの外来ケアを行っています。患者さんの人生の話、ストーマの悩み、そんな思いを受けとめながら、一緒に年を重ねていきたいですね。

将来は特定行為の研修を受けながら、医師と連携して在宅の創傷ケアにも力を入れていきたいと考えています。タイムリーに医師に報告し、時には代わって判断や対応ができるよう、知識と技術を高めていきたいです。今は認定看護師の更新にも向けて準備中です!

今、力を入れているのは、高齢者に多いスキンーテア(皮膚の裂け)や、医療機器の圧迫による傷の予防。
名付けて「高齢者のお肌つるつる作戦」!
高齢の方は皮膚が乾燥しやすく、ちょっとしたことで傷になりやすい。だからこそ、入院中からしっかり保湿ケアを徹底し、「ここに入院したらお肌がつるつるになって帰ってきた」と言ってもらえる病院を目指しています。
私たちは、患者さんが入院時に持っていなかった“傷”を新たにつくらないようにするのが使命。看護の質を、スタッフが変わっても維持できるよう、しっかり根づかせていきたいです。
リフレッシュ方法

週一のジム通いで筋トレ&ランニング。
高地トレーニングに挑戦中で、目指すはシックスパッド♪

同期の活躍が、私が頑張れる源!
済生会川口看護専門学校卒業の同期生が私を含め3名います。
同期会もして、切磋琢磨♪

年に2回、ほぼ自給自足で暮らしている、看護師であり僧侶でもあるイギリス人の知人が住む熊本の山奥へ。
そこでは農作業や土木をしながらリフレッシュ。
「普段しないことをする時間」が、心と身体のリセットに。
また、毎日手作り弁当を撮り続けて4年。三日坊主の私がこれはずっと続けられています♪
