認知症看護認定看護師として活動するお二人に、日々の実践の中で大切にしていることや、患者さんとの関わりについて話を聞きました。

認知症ケアで大切にしていることは?

私は「相手の視点」です。
認知症の方は、考えていることがうまく伝えられないことも多いので、行動や言動からそれを読み解いて、相手の立場に立って考えることを大切にしています。

私は、なるべく直接会ってお話しすることですね。
コンサルテーションを受けたときも、患者さんから直接「困っていること」を聞くのと、カルテから読み取るのとでは、結構違うなと感じています。表情や声のトーンも含めて観察して、直接感じたことも含めてアセスメントするようにしています。

患者さんに安心してもらう工夫や心がけていることは?

まずは自分が何者かを知ってもらうことですね。
「こんにちは。今日は入院で大変でしたね」と声をかけて、これから一緒に治療していきますよ、ということが伝わればいいなと思っています。あとは患者さんたちは表情や声のトーンをすごく敏感に感じ取るんですよね。なので、言葉よりも、表情や声のトーンなど、非言語的な部分が大事だと感じています。

私も似ているのですが、最初はご本人の困りごとにフォーカスを当てるようにしています。医療者やご家族の視点と、ご本人の困りごとがズレていることもあるので、まずは話を聞いて、そこから広げていきます。
患者さんに自己紹介をするときは、思っている以上に、細かく状況を伝えるようにしています。認知機能が低下していると、「この人は誰だろう」「ここはどこだろう」と不安になることもあるので、今の状況やこれからの流れを丁寧に説明します。

あとは、しっかり視界に入って、目線を合わせてから話すことも意識しています。
話しながら、認知機能の様子も見ていますね。小さな違和感を見逃さないようにしています。

この分野を目指したきっかけは?

私は訪問看護の経験が大きいですね。
在宅では落ち着いて生活できている方が、入院すると、関わりが難しい場面として捉えられてしまうことに違和感があって。その人の背景を知らないまま評価されてしまうのが、すごく引っかかっていました。

私は、病棟で認知機能が低下した患者さんが増えてきたことがきっかけです。
術後の治療管理が難しくなる場面も多く、患者さんもつらいし、スタッフも疲弊していて。でも、どうしたらいいかという知識もなかったため、学ぼうと思いました。

私は当時、10か月のカリキュラムで週2で学校へ通いながら、同時に週4、5日働いていたので、大変でした (笑) 。

それは大変でしたね(笑) 。私は、学校だけの7か月でした。

学びを経て、現場での関わりに変化はありましたか?

これまでは、できていないことに目が向きがちでしたが、実際には現場でできていることもたくさんある、ということを伝えていくようになりました。
できている部分に目を向けて声を掛け前向きな考え方を意識するようになりました。

印象に残っているできごと

ご飯を全く食べてくれない患者さんがいまして。でもその患者さん「うちのが、一緒に食べるからいい」と言われたんです。私は『一緒に食べる』という言葉に着目して、奥様に来ていただき一緒に食事をとれるようセッティングしました。
すると、少しずつ食事が進むようになりました。そこから好きなものを少しずつ食べてもらえるようになりました。ほんとうに些細なことの積み重ねだなと思いましたね。

前の職場の事例です。入院中に強い帰宅希望があり、病院を離れて自宅へ戻られた方がいました。最初は玄関も開けてもらえず、怒鳴られたのですが、話を聞いていくと、ご病気のご家族のことや、さまざまな事情があって、その方にとってすごく余裕がなかったんですよね。

いろんな背景があったんだね。

一見、『関わりが難しい』ように見えても、その人なりの理由がある。
ミュニケーションの大事さ、会うこと、話すことの重要性を学んだ事例でしたね。

後輩へメッセージ

認知症ケアは、「こういう看護がしたい」と決めている人よりも、現状でいいのか、もっとよくできないか迷っている人の方が、むしろ合っているんじゃないかと思います。
グループワークが多く、自分がなぜ迷ったのか、何に疑問を感じているのかをすごく掘り下げていく機会があります。さまざまな立場や年齢の看護師が同じように考え、意見を出し合いながら活路を探っていきます。そうしたディスカッションが、自分の迷いを解く糸口になることもあります。

すぐに決めつけず、柔軟に受け止められる方が向いていると思います。
結果が見えにくい分野ではありますが、それも含めて楽しんでほしいです。

結果は見えにくいですね。
どのケアがよかったのか、はっきり分からないことも多いです。

ある人にとって良いものが別の人には逆効果だったりもします。

「これが正解」みたいなものもないですし、自分のケアが役に立ったかの判断も難しいんです。感情も出てくると思うんですが、それも含めて受け止めながら関われるといいですよね。

実はお二人ともホットヨガ経験者。撮影中には息ぴったりのポーズも見せてくださいました。
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