循環器内科
主任部長 中尾 優

心房細動とは、加齢とともに患者数の増加が予想されている不整脈の一つです。
「脈が飛ぶ感じがする」「動悸が気になる」といった症状があっても、“年齢のせいかな”と様子を見てしまう方は少なくありません。
近年では治療方法も進歩しており、患者さんの身体への負担軽減が期待される新しい治療法も登場しています。
その中でも、PFA(パルスフィールドアブレーション)は、新たな治療選択肢として注目されています。当院でも、患者さん一人ひとりの状態に応じた適切な治療をご提案できるよう努めています。
気になる症状や治療について不安なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

どんな病気ですか?

心房細動とは、心房全体が細かく不規則に震えることで、脈が乱れる不整脈の一種です。
心臓の機能が低下して心不全を引き起こすと、心臓がポンプとしての役割を上手く果たせなくなります。また心房の中の血液がよどんで血の塊(血栓)を作り、脳梗塞を起こすことがあります。
心房細動の患者数は年々増加しており、国内での患者数は100万人以上と推定されています。高齢化の進行に伴い、2030年には国内の心房細動患者は140‐170万人程度まで増加する可能性があるとも言われています。

治療の現状

心房細動の治療法は、主に「薬物療法」と「カテーテルアブレーション(経皮的カテーテル心筋焼灼術)」に分かれます。

■ 薬物療法:
主に心拍数や拍動のリズムを調整するものや、血液を固まりにくくする薬などを使用します。
身体への負担が比較的少ない一方、効果に個人差があり、継続して服薬が必要となる場合があります。

■ カテーテルアブレーション:
心房細動の原因となる異常な電気信号を発する部位に対し、カテーテルを用いて治療を行う方法です。
脚の付け根の血管から心臓内にカテーテルを挿入し、心房細動を引き起こしている部位に対して心筋部分に治療を施すことで、異常な信号が伝わらないようにします。近年では、患者数の増加や治療技術の進歩に伴い、カテーテルアブレーションを選択される患者さんも年々増えてきています。

PFA(パルスフィールドアブレーション)とは

カテーテルアブレーションの新しい治療法

PFA(パルスフィールドアブレーション)は、心房細動に対するカテーテルアブレーションの新しい治療法の一つです。

これまでのカテーテルアブレーションでは、高周波による熱エネルギーを用いて、異常な電気信号を発生させる部位を焼灼し、症状の改善や再発予防を目指してきました。一方で、熱を使用する治療のため、まれに食道や横隔神経など周辺組織へ影響を及ぼす可能性があることが課題とされていました。

PFAでは熱を用いず、短時間の高電圧パルスを用いて治療を行います。心筋細胞に電気的な作用を与えることで、不整脈の原因となる組織を治療する方法です。
心筋は周辺組織と比べて電気刺激の影響を受けやすい特徴があるため、PFAは周辺組織への影響を抑えながら治療できる可能性が期待されています。

また、PFAには以下のような特徴があります。

  • 周辺組織への影響を抑えられる可能性がある
  • 治療時間の短縮が期待される
  • 比較的低侵襲で、身体への負担が比較的少ない
  • 心房細動に対する有効性が期待されている

※すべての患者さんに適応となるわけではありません。病状や全身状態により、適した治療法をご提案します。

高周波
心臓の組織を熱で変性させる

パルス電圧
心筋の細胞に作用して細胞死を引き起こす

治療に熱を使わないため、周辺組織への影響を抑えながら
治療が行えることが期待されています。

機材イメージ

よくある質問

すべての患者さんに適応となるわけではありません。心房細動の種類や持続期間、基礎疾患、心臓の状態などを踏まえて、医師が適応を判断します。また、治療効果や合併症のリスクには個人差があります。
治療をご検討の際は、詳しくは担当医へご相談ください。

治療に熱を使用しないことから、周辺組織への影響軽減が期待されている治療法です。また、通電時間が短いことから、治療時間の短縮につながる可能性もあります。

カテーテルアブレーションは開胸手術を行わないため、身体への負担を比較的少なく抑えられる治療法とされています。入院期間についても、患者さんの状態によって異なりますが、比較的短期間となる場合があります。

動悸、脈の乱れ、息切れ、疲れやすさ、胸の違和感などが続く場合は、まずはお近くのかかりつけ医にご相談ください。症状がなく、健診で指摘されて見つかる場合もあります。

【画像提供元】
・ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 メディカル カンパニー
「心房細動治療の選択肢を広げるPFA(パルスフィールドアブレーション)とは」 →掲載ページ