患者さんを中心とした医療の質の向上をめざします

ICU

ICU紹介

― 総合力あるチーム医療

当院のICUは14床(うち陰圧個室4床)で、全科共同利用の “General ICU” です(他病棟にNICU6床)。
院内外の救急患者さんや手術後の重症患者さんに対応し、特定集中治療室管理料5の算定認可を受けています。
医師・看護師だけでなく、臨床工学技士・療法士(PT、ST、OT)・薬剤師・管理栄養士・医療事務など、多職種による総合力を生かしたクリティカルケアを実践しています。
また、当ICUでは重症患者専用の部門システムACSYSを導入し、バイタルサインや人工呼吸器・透析機器などの生体情報を自動記録。そして、スタッフステーションでは、生体情報モニターと患者監視モニターが一望できる、機能的かつ効果的な環境を整えています。

ICU特長

― “地域の急性期病院ならでは”のGeneral-ICU

当院では、予定手術後の患者さんや院内急変を含め、ICU一カ所に全ての成人重症患者さんを集約しています。そのため、モニタリングが主な目的での入室も多く、重症な緊急入室を主体とする救命救急センターと比較すると、重症度には幅があります。
一方で、循環作動薬投与、侵襲的人工呼吸器管理、血液透析をはじめとする急性期血液浄化、循環補助装置などの使用を必要とする患者さんも、当院では高次施設ほど多くはありませんが、幅広く受入れています。症例の状況に応じて、主治医とICU専従医が協力して治療にあたります。
全科共同利用のICUであるため、疾患層は多様であり、薬剤の使用法の標準化や、共通した鎮痛・鎮静管理の構築など、安全面の向上を目指した取り組みも行っています。また、治療期間の短縮によって、より多くの患者さんを受入れられるよう努めています。
さらに、急性期医療はICU内にとどまらず、退室後や退院後も必要な治療が継続されるよう、原疾患の治療のみならず、早期リハビリテーション、栄養管理、時には意思決定に関わる支援まで、多職種によるアプローチを行っています。

診療実績

診療科別入室患者割合(2024年度)

2024年度の入室患者数は1,581人で、過去5年ほどの間では最多となりました。
当院では脊椎手術を多数行っているため、特に整形外科の手術後の入室が多くなっています。外科は予定・緊急どちらも多く2番目の入室数で、ホットラインで緊急性が高い患者を応需している循環器内科、脳神経外科がそれに続きます。


入室実績(2024年度)

入室状況としては手術後、手術室経由の入室が多くを占めます。
ECMOは国内ではPCPSとも呼ばれる補助循環としてのみの取り扱いです。
今後もデータを蓄積して、診療の質の管理、入退室の適正化に向けて役立てていきます。

入室状況 患者数 1,581 人
平均材質日数 2.74 日
ICU死亡率 2.53 %
緊急入室 45.0 %
患者背景 平均年齢 70.9 歳
BMI 23.4 ㎏/m²
平均APACHⅡスコア 14.1 *
手術状況別 予定手術 55.8 % *
緊急手術 6.0 % *
手術以外 38.2 % *
入室経路 手術室 61.3 % *
救急外来または外来 32.4 % *
病棟 6.2 % *
転院 0.1 % *
主な治療行為 侵襲的人工呼吸器管理 56 件
非侵襲的陽圧換気(NPPV) 89 件
ICU滞在中の気管切開 1 件
持続的腎代替療法 19 件
間欠的腎代替療法(ICU内実施分) 39 件
大動脈内バルーン・パンピング(IABP) 19 件
体外式膜型人工肺(ECMO) 2 件

*:7月~3月の集計

ICU スタッフ紹介

当院のICUは“地域の急性期ならでは”のICUです。だからこそ、病気だけではなく、人(人生)をケアするICUでありたいと思っています。
Team ICUの一員として、各職種の仲間が専門性をいかし、“人(患者・家族、医療スタッフ)を中心としたクリティカルケア”を実践し、「総合力」、「統合力」、「連携力」の3つの力で患者さん・ご家族、地域医療に貢献したいと考えています。

総合力

他職種がお互いを尊重し合い、プロとしての視点を集結させたクティカルケアを実践

  • 多職種 Walking conference(平日毎日)
  • 早期離床リハビリテーションチームラウンド(平日毎日)
  • 呼吸ケアチーム(随時)
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医 師/Doctor

戸塚 亮 (とつか りょう)

診療科 救急・総合内科
役 職 医長
専門分野 救急・集中治療
資格・認定 ・日本救急医学会 救急科専門医
・日本集中治療医学会 集中治療科専門医

看護師/Nurse

“今必要なクリティカルケアから、これからを考えた看護ケアへ”

当ICUの看護師は多くが病棟出身者です。
当院は地域の急性期病院です。ICUでは、患者さんが一般病棟へ転床した後の看護ケアを考えてクリティカルケアを立案しています。そのため、病棟出身者が多いことは大きなメリットです。
ICU看護師と病棟看護師とは旧知の仲ですので、一般病床転床前はICUで病棟看護師と看護ケアの情報共有をすることもあります。ICU退室前に患者さんと接点をもつことで、病棟看護師と患者の両者の不安が緩和されます。
また、ICU看護師は患者さんが自分で身の回りのことをできるよう、クリティカルケアをプランニングしています。このように、ICUから一般病棟へ切れ目のない看護ケアを目指しています。

当ICUの看護師の特長
・病棟出身者が多い(ICU未経験者でも気兼ねない)
・クリニカルラダー(ICU未経験者でも安心)
・ERと一元化(救急患者のシームレスな看護ケアが可能、ER研修も可能)
・出産後の復帰組も多い(男性看護師も育児休暇取得)

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(看護師募集)ともに働く仲間を募集しています!
「看護部紹介・インタビュー/ICU」

薬剤師/pharmacist

“薬の効き目は患者さんに!薬剤師の効き目はTeam ICUに!”

Team ICUの薬剤師として、ライン管理や配合変化、医療従事者へのばく露対策などを含め、薬の面からトータルサポートを担っています。
ライン配合禁忌一覧表の作成、薬品管理の簡素化で看護師をサポート。これぞ薬剤師の視点だからこそ!
そして、患者さんがICUから一般病棟へ転棟する際、薬物治療がシームレスに継続できることも、当院Team ICU薬剤師ならではです。

pharmacist

臨床検査技師/medical technologist

“迅速に、安全に、正確に!”

ICUでは、脳波検査や心臓・腹部・血管・体表超音波検査など、さまざまな緊急検査の対応をします。
また、ベッドサイドに出向いて検査をおこなうため、医師や看護師に確認しながら、個々の患者さんの状態に合わせて、ときにはさまざまな工夫しながら安全な検査を心掛けています。
検査結果が医師の診断や、今後のクリティカルケアを決定することは、とても責任を感じますが、ICUでの患者さんが一般病棟に移られ、生理機能検査室で検査ができるようになったり、少しずつでも数値がよくなったりすることが、とても嬉しく感じます。

kensa

理学療法士/physical therapist

“患者さんの「これから」を支えるリハビリテーション”

●専任理学療法士 2名
医師、看護師、リハビリスタッフとでWalking conferenceを実施しています。
理学療法士として、生命維持装置を装着している重症患者さんであっても、主治医からの安静度指示範囲内で理学療法を早期に行っています。また、過剰な安静を強いることないよう、ICU医師から主治医に働きかけてもらい、リハビリ中に安静度を上げるなどをして早期離床を進めています。

  • 平日14時からはICUリハタイムです。多職種一丸となって一斉にICU患者さんの離床や運動療法等のリハビリを実施。
  • PTではストレッチャー車椅子やシッタンでの離床や、歩行器などを使用し片道35mのICUの直線通路にて歩行訓練を実施。
  • OTやSTも介入し、ICU在室中から摂食嚥下療法を開始し、より良い機能でICU退室できるよう努めています。

また、患者さんがICUから一般病棟に移られても、原則的に同一のリハビリスタッフが担当しています。患者さんにとってシームレスなリハビリが提供でき、リハビリスタッフにとっても急性期から退院まで連続したリハビリが経験できます。
ICUでの “今、そしてこれから” の患者さんの人生を考えたリハビリを計画し、実施していきます。ときには、当院での急性期から亜急性期のリハビリだけでなく、療養型への移行も必要です。リハビリのバトンをうまく渡せるよう、リハビリの溝を作らないよう工夫をしています。
また、当院では訪問リハビリでも理学療法士が活躍しています。

reha

臨床工学技士/clinical engineering technologist

“いつでも臨機応変な医療機器の対応ができるように!”

病院にはさまざまな医療機器があり、なかには生命に直結する機器などもあります。
また、いつでも状況に応じて臨機応変に医療機器に対応ができるよう、各機器の操作・点検・保守などのほか、機器の操作を必要とする職種(看護師など)への勉強会や情報共有という役割もあります。

  • 臨床工学技士は医療機器のプロフェッショナルです。ICU内のME機器(IPPV・NPPV・ECMO・モニターなど)の管理をしています。
  • 緊急カテや血液浄化、院内機器のトラブルにも対応できるよう、24時間体制で院内待機しています。
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管理栄養士/dietician

“Team ICUの管理栄養士として、患者さんの日々の状態に合わせフレキシブルに対応する!”

●専任管理栄養士 1名

  • 早期の経腸、経口栄養への移行
    速やかに腸管機能や嚥下機能を評価できるよう、GFOやとろみ調整食品、エンゲリードゼリーをICUに常備。摂食嚥下支援チームと情報共有を図っています。
  • 低栄養の改善
    栄養管理計画を作成。また、栄養量を確認し、多職種カンファレンスへ参加。経口摂取の進まない患者さんへは、栄養補助食品を提供し、栄養量の充足を図るなど、他職種とも連携を図り個々の患者さんに合わせた栄養面のサポートを行います。
eiyou

助 手/nursing assistant

“縁の下の力持ち!Teamのサポート役”

看護師が看護業務に集中できるよう、能動的に活躍しています。
おもな業務はシーツ交換、検体出し、物品の補充、清掃など。
緊急対応の多い部署なので、看護師がスムーズな対応を進められるようにサポートしています。

josyu

クラーク/ward clerk

“だれかの「困った」をサポートできるように”

看護師の事務作業の負担軽減を念頭に、落ち着いて対応できるように心がけています。
おもな業務はカルテ内の同意書類の確認や電話・面会の取り次ぎ、集計業務などを担当します。
また、各科、各病棟、医事課とも連携をはかり、看護師、ときには患者さんやご家族が困っているときには、話を聞ける存在でいられるように努めています。

事 務/medical office worker

“状況下で変化する運営にもプロフェッショナルとして意見や提案をする。ときには職種間の橋渡しに!”

ICUでは平均滞在日数が2~3日と非常に短く、重症化から離脱した後、患者さんはすぐに一般病棟へ移動します。医事情報が滞りなく集計・算定できるよう、病棟事務間の連携の他、場合によってはその病棟の医師や看護師、コメディカルとも連携しています。
連携においては、職種によるヒエラルキーもなく、フラットな関係性で意見や提案が言えて、お互いを尊重しあう独自文化が築かれています。事務でも忌憚のない意見が言えて、他院にはあまり見られない良きコミュニケーション文化です。
他にも、指導料や加算等の算定件数抽出等の統計データ作成、医療行為や使用する医療材料の算定要件の確認、DPCの病名選択に対するサポート、算定項目・件数増加ための運用検討、プレゼン資料の作成、必要度やICUの施設基準要件等の保険診療に関する各種制度の説明、SOFAスコアの様式転記、ICU基準値クリアのモニタリング等、コスト意識を高めてTeam ICUの一員として共に活躍・成長しています。
患者さんを中心とした多種多様な疾患に対応できる知識を身に付けることにより、地域・社会に貢献していきます。

ijika