患者さんを中心とした医療の質の向上をめざします

循環器内科

循環器内科 特長

  • 当院の循環器内科では、常勤6名、非常勤5名の医師(2022年4月現在)により循環器疾患に対する治療を幅広く行っております。
  • 当院は、川口市ならびに近隣地区における公的な総合病院としての役割を担っており、さまざまな疾患を合併した患者さんへの循環器診療をそれぞれの専門医師と協力して行っております。
  • 急性心血管治療を行う埼玉南部地区CCUネットワークの一員として、循環器疾患に対して迅速な救急対応をとれるようにしております。
  • 狭心症や心筋梗塞などをさまざまな方法で診断し、必要に応じて日本心血管インターベンション治療学会・インターベンション名誉専門医・専門医・認定医が心血管疾患に対するカテーテルによる治療を行っております。
  • 不整脈治療では、徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療に加え、発作性心房細動などの著しい動悸発作、あるいは突然死の原因となる頻拍性不整脈に対しての根治療法である、カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)を行っており、コンタクトフォースやクライオアブレーションという最新の技術も取り入れています。

循環器内科 対象疾患

循環器内科は心臓・血管疾患に関連した病気の診断、治療を担当致します。

  • 虚血性心疾患:狭心症, 無症候性心筋虚血, 心筋梗塞
  • 不整脈:
    ・頻拍症:心房細動(発作性,慢性),発作性頻拍症(上室性,心室性)
    ・徐脈:洞不全症候群,房室ブロック
  • 末梢動脈疾患(四肢血管、腎動脈等)(血管外科と分担して担当)
  • 弁膜症(外科的手術が必要な際には、手術成績の良い心臓血管外科施設へ紹介)
  • 心不全(急性心不全, 慢性心不全急性増悪)、心筋症
  • 肺動脈血栓塞栓、深部静脈血栓症
  • 難治性高血圧
  • 脂質代謝異常 (基本的には近隣の診療所での外来治療をお願いしております)
  • 睡眠時無呼吸症候群(耳鼻科と協力して担当)

学会認定施設

  • 日本心血管カテーテル治療学会 研修施設

不整脈外来

午前・午後の外来診療ともに、初診の方の受付を行っています。紹介状をお持ちの上、ご来院ください。

月曜日 8:30~11:00 / 12:30~15:00

ペースメーカー外来

移植術後のペースメーカーチェックを行っています。

金曜日 12:30~15:00(予約制)

主な検査

心臓CT検査(冠動脈CT)

今までは心臓カテーテル検査でしか分からなかった冠動脈の走行、狭窄を評価することができます。
心臓CTではカテーテルを使用せず、造影剤を注射することで冠動脈の評価が可能です。
心臓カテーテル検査と比べて、より低侵襲で体の負担が少ない検査であり、必要に応じて同時に全身の動脈を撮影することも可能です。


SIEMENS SOMATOM
Definition Flash(128列×2)
当院では3台のCTを不整脈、プラーク成分分析、血管内治療後のステント評価など、それぞれの適応を考慮して使用しています

心筋の表面の冠動脈が描出されています

冠動脈に石灰化が沈着しています

狭窄部の外側に石灰化
内側に大量の脂質プラークを認めます

心臓MRI検査

従来の画像検査では評価が難しかった心内膜下梗塞(小さな心筋梗塞)の診断や、症例によっては造影剤を用いずに冠動脈の評価を行う事も可能です。
非虚血性心疾患においては、さまざまな心筋症における心筋の変性(線維化)を評価することができ、現在原因不明の心不全症例の精査に用いています。

MRI
Ingenia 1.5T、3.0T

心筋症
冠動脈 MRA(造影剤なし)

冠動脈
心筋症
(心筋の中にガドリニウム造影剤に染まる繊維化を認めます。これば心筋症や心筋梗塞で認める所見です)

心筋シンチグラフィ

心臓の筋肉(心筋)も活動するためには栄養を含む血液が必要であり、心筋には冠動脈という3本の血管をとおして血液が分配されます。この冠動脈が狭くなる、詰まるなどによって心筋に障害が生じます(狭心症、心筋梗塞)。
この冠動脈の形状や内腔の状態を確認するには、冠動脈造影や冠動脈CTが利用されます。しかし、冠動脈の形状を見るだけでは、心筋に必要な血液が十分に分配されているかを直接判断することは難しいため、心筋へ流れる血液の量や心筋の機能を画像化する方法として、心筋シンチグラフィという検査を利用します。
現在の使用機種はSymbia Evo Excelです。

MRI
Symbia Evo Excel

MRI
負荷時に心筋血流が低下(紫色)となり、安静時には正常化(オレンジ~白色)し、心筋虚血を認めます

FFRct解析検査

冠動脈疾患のあたらしい診断法

新しい心臓の検査方法であるFFRct(エフエフアールシーティー)解析を、埼玉県で初めて導入しました(2021年7月)。
FFRct 解析は痛みや入院を伴わない、非侵襲的な安全な検査であり、既に撮影された患者さんご自身の冠動脈CT検査の画像データをもとに、AI(ディープランニング手法)も用いた最新のコンピューター技術で解析と評価を行います。
実際には、細かなメッシュ(網の目)による冠動脈の3次元モデルを作成し、流体力学に基づいた高度な血流シミュレーションにより、血流の状態が数値で表示されます。その数値に応じて冠動脈が色分けされ、赤い部分は血液の流れが特に悪くなっていることを意味します。つまり血流を改善させるためのステント治療や冠動脈バイパス手術が必要であることを示しています。
このような詳細な冠動脈の血流評価法は、従来であればカテーテル検査でセンサーの付いたワイヤーを冠動脈に入れて血流を測定する冠血流予備量比(FractionalFlow Reserve:FFR)という検査評価法が主流ですが、カテーテルを体に入れて冠動脈にワイヤーを通す必要があり、患者さんの負担になることもありました。FFRct解析の導入により、当院では症状の安定した患者さんにおいては、非侵襲的な安全な検査による外来での診断が可能になりました。
この検査には保険が適応されますので、患者さんの負担に応じた費用で検査を受けることができます。事前に行われた冠動脈CTの画像データを使用するだけですので、追加の撮像の必要もなく、外来で結果を聞くことができます。
※すべての方にFFRctが適用できるわけではありません。
※冠動脈CT検査費用とは別に、FFRctの解析費用(9,440円/1割負担の方(2021年3月時点)が必要となります)。

心臓PET/CT検査

特殊な心筋症炎症(サルコイドーシス等)、心臓腫瘍などの検査です。
特に、サルコイドーシスでは病変の分布や病勢を評価するのに有用と考えられ、以前から行われているガリウムシンチよりPET/CTは感度が高く臨床的な有用性が高い検査です。


PET

PET/CT

PET01

【正常化】

PET02

【心サルコイドーシス】
心サルコイドーシスでは、肺門と縦隔リンパ節さらに心筋壁にPET集積が見られます

NIRS-IVUS Near InfraRed Spectroscopy

IVUS

冠動脈のカテーテル治療の際に血管内超音波(Intra Vascular Ultra Sound:IVUS)を併用することは一般的ですが、当院ではNIRS-IVUSを使用しております。
画像右では血管は狭窄していず軽度の動脈硬化プラークを認めます。近赤外線を用いて分析すると脂質が非常に多いことがわかり、NIRS-IVUSでは黄色く表示され、将来に急性冠症候群を生じる危険性が高いことがわかります。アメリカ食品医薬局FDAが将来的に危険なプラークを認識する方法として公認している検査法であり、冠動脈のトータルマネージメントに役立てております。

主な疾患

循環器内科で診療する主な疾患をご紹介します。
疾患の説明は社会福祉法人 恩賜財団 済生会・病気解説(別サイト)へリンクしています。

狭心症

心臓を動かしている血管(冠動脈)が、動脈硬化などにより狭くなり、心臓が正常に機能するために必要な血液が十分に供給されず、心臓の筋肉が酸素不足に陥ってしまう疾患です。
●狭心症リンク(別サイトが開きます)

不整脈

心臓は電気信号によって、常に一定のリズムで規則正しく収縮を繰り返すことで、全身へ血液を送るポンプとして重要な役割をしていますが、このリズムが乱れると、脈拍が速くなったり遅くなったりします。
また、加齢とともに増える「心臓細動」では、心臓のけいれんにより大きな血栓が心房内にできやすくなり、重篤な脳梗塞を引き起こす原因となることがあります。
●不整脈リンク(別サイトが開きます)

慢性心不全

心不全は、狭心症や心筋梗塞、不整脈などにより、心臓のポンプ機能が低下することで、体が必要とする血液を十分に送り出せなくなる症候群(状態)です。
●慢性心不全リンク(別サイトが開きます)

閉塞性動脈硬化症

腹部から両足に伸びる動脈の動脈硬化が進行したり、動脈が閉塞したりしてしまい、足に流れる血液が不足してしまい、血行障害から血管組織に十分な酸素が送れなくなり、足に痛みや歩行障害を引き起こす病気です。
●閉塞性動脈硬化症リンク(別サイトが開きます)

診療実績

おもな検査件数

放射線検査 2019年
心臓CT検査 463件
心臓MRI検査 63件
心筋シンチ 241件
心臓PET 6件
生理機能検査 2019年
心エコー 5494件
経食道心エコー 187件
血管エコー 2243件(頸動脈・四肢血管)
Holter心電図 1015件
1週間Holter心電図 689件
携帯心電計 121件
Tilt test 1件
心肺運動負荷試験(CPX) 44件

おもな治療件数

2019年
心臓カテーテル検査・治療総数 761件(うち緊急:128件)
冠動脈インターベンション(PCI) 236件
カテーテルアブレーション(RFCA) 203件
ペースメーカー植え込み術 49件
末梢血管インターベンション(PPI) 8件

スタッフ紹介

髙木 厚 (たかぎ あつし)

診療科 循環器内科
役 職 主任部長  副院長・診療部長
専門分野 虚血性心疾患のカテーテル検査および治療
虚血性心疾患の画像診断 
動脈硬化のリスク管理
主な
資格・認定
日本内科学会認定内科医
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)認定医・名誉専門医・代議員
日本心臓病学会(FJCC)・正会員・評議員
日本心血管画像動態学会・評議員
日本心エコー図学会・評議員

中尾 優 (なかお まさし)

診療科 循環器内科
役 職 部長
専門分野 心臓および全身の動静脈カテーテル治療
主な
資格・認定
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)認定医・専門医

門脇 拓 (かどわき ひろむ)

診療科 循環器内科
役 職 部長
専門分野 心臓および冠動脈カテーテル検査・治療
主な
資格・認定
日本内科学会認定内科医・総合内科専門医
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)認定医

田中 一樹 (たなか かずき)

診療科 循環器内科
役 職 部長
専門分野 虚血性心疾患のカテーテル検査および治療
循環器内科一般
主な
資格・認定
日本循環器学会認定 循環器専門医
日本内科学会認定内科医
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)認定医
日本経カテーテル心臓弁治療学会 TAVR実施医

長柄 希実子 (ながら きみこ)

診療科 循環器内科
役 職 医長
専門分野 循環器内科一般
主な
資格・認定
日本内科学会認定内科医

渡邊 正之介 (わたなべ しょうのすけ)

 
診療科 循環器内科
役 職 医員
専門分野 循環器内科一般

芹川 直輝 (せりかわ なおき)

診療科 循環器内科
役 職 医員
専門分野 循環器内科一般

【非常勤】 小村 悟 (こむら さとる)

・所属:こむら循環器内科クリニック 院長
・専門:日本不整脈心電学会認定不整脈専門医

【非常勤】 樋口 諭 (ひぐち さとし)

・所属:東京女子医科大学循環器内科

【非常勤】 植髙 恵美子 (うえたか えみこ)

【非常勤】 片岡 翔平(かたおか しょうへい)

・所属:東京女子医科大学循環器内科
・専門:日本不整脈心電学会認定不整脈専門医