患者さんを中心とした医療の質の向上をめざします

消化器内科

消化器内科のご紹介

消化器内科 特長

当科が特に力を入れている項目は以下の7項目です。

  1. 食道がん、胃がん、大腸がんに対する内視鏡的切除術 (ESD、EMRなど)
  2. 胆道・膵疾患に対する内視鏡的治療 (EST、ERBDなど)
  3. 胆膵・消化管疾患に対する超音波内視鏡を用いた診断と治療 (FNA、HGSなど)
  4. 肝がんに対する治療 (RFA、TACEなど)
  5. B型肝炎、C型肝炎に対する抗ウイルス治療
  6. ヘリコバクター・ピロリ菌に対する診断と治療
  7. 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)に対する診断と治療

主な対象疾患

食道・胃・十二指腸・大腸などの消化管の病気や、肝臓・胆のう・膵臓などの病気全般を扱っています。

ピロリ菌外来

  • 対 象:三次除菌、ペニシリンアレルギーの方
  • 診療日:第1・3・5週 金曜日
  • 費 用:保険外診療となります。
    三次除菌(処方・検査・診療費を含む) 約33,000円
    ペニシリンアレルギー(処方・検査・診療費を含む) 約33,000円
  • 担 当:西垣医師

学会認定施設

日本消化器病学会認定施設
日本消化器内視鏡学会指導施設
日本肝臓学会認定施設
日本内科学会認定医制度審議会教育病院

Q&A

C型肝炎、B型肝炎は治るのですか?
C型肝炎は、ここ数年でインターフェロンを使わない、飲み薬だけで治る治療ができるようになりました。 これらは初期の肝硬変に使用することも可能です。
B型肝炎は、現在の医学ではB型肝炎ウイルスを完全に駆除することはできません。しかし、飲み薬でほとんどの患者さんのウイルス量を減らし、肝機能を正常化することが可能です。

また、患者さんによってはインターフェロン治療を行うこともあります。
また、C型肝炎、B型肝炎の治療費を、全国の都道府県が助成する制度があります。
C型肝炎、B型肝炎を治療することにより、肝炎の進行を抑え、肝がんの発がんを抑えることができますので、積極的に治療することをお勧めいたします。 ここ数年で著しく治療は進歩しましたが、日本にはまだ、自分がC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスに感染していることに気付いていない方が多数いることがわかっています。C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかは、血液検査で簡単にわかりますので、ぜひ1度肝炎ウイルス検診を受けてください。
肝炎ウイルス検診は多くの医院や病院で、無料から低価格で受けることができますので、お住まいの市、県のホームページを見たり、かかりつけの先生にご相談してください。
ピロリ菌を退治すると胃潰瘍は再発しなくなるのですか?
胃潰瘍、十二指腸潰瘍の患者さんは積極的に除菌することをお勧めいたします。
現在3種類の薬を1週間内服して治療しますが、約90%の確率で菌が消えています。
除菌に成功しますと潰瘍が再発しにくくなります。
もし除菌に失敗した場合はもう一度、薬を変えて治療ができます。
それにより1回目の除菌で失敗した人のうち、約95%が除菌できます。
この菌は胃がんの原因のひとつですから、その点からも除菌した方がよいと思います。
胃がんを内視鏡で切除できると聞きましたが、本当でしょうか?
本当です。
食道でも、胃でも、大腸でも、条件に合う早期のがんなら、内視鏡で切除できます。
大腸なら、外来あるいは1泊入院で切除することが多いです。
胃、食道の場合は、1週間前後の入院が多いです。
以前なら手術をしていた病気が内視鏡で治療できる時代になってまいりました。
肝がんの治療にはどんなものがあるのですか?
肝がんの治療には、
肝がんの大きさ、数、場所、血管侵襲の有無、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無などの腫瘍因子の他に、
肝臓の力(予備力)が治療方針に大きく影響します。
これらを精査して、患者さんにどの治療がベストかを決めます。
手術、局所療法(ラジオ波焼灼術、エタノール注入法)、肝動脈塞栓術、動注化学療法、経口抗がん剤など
種々の方法があります。
患者さんと相談して、それぞれの患者さんに一番よい治療法を選択しております。
特にラジオ波治療は手術に匹敵する治療効果が得られます。
※ラジオ波焼灼術とは肝がんに針を刺してラジオ波で焼く方法です。肝がんの完全壊死が可能です。
※エタノール注入法とは肝がんに針を刺してエタノールを注入してがん細胞を殺す方法です。
※肝動脈塞栓術とは肝がんに栄養を与えている血管を詰めて栄養がいかなくなるようにして、肝がんを小さくする方法です。
※動注化学療法とは、抗がん剤を肝がんに注入して肝がんを小さくする方法です。
当院は地域がん診療連携拠点病院でありますから、肝がんの治療にも力を入れております。
最近胸やけがしますが、胃が悪いのでしょうか?
最近増加している胃食道逆流症(逆流性食道炎を含みます)だと思います。
内視鏡検査をすればはっきり診断がつきます。
酸分泌抑制剤などの薬で改善しますが、
食事の注意(油濃いもの、甘いもの、すっぱいもの、アルコールなどよくありません)も必要です。
猫背、肥満もよくありません。
寝る時は枕を高めにして、やや左側臥位にすると胃液が逆流しにくくなり、胸やけが少なくなるでしょう。
ナッシュ(NASH)と言われたのですが。
非アルコール性脂肪性肝炎のことです。
アルコールを飲まないのに、アルコールを飲みすぎている人と同じような肝臓の病気が起こります。
その原因は肥満、高脂血症、糖尿病などです。
これも肝硬変に至ることがあるのです。
肝がんに進展することもあります。 生活習慣病ですから、普段の摂生が大切です。
食事療法、運動療法が基本で、必要あれば薬物療法も行います。
肝硬変の夜食には何がいいのですか?

例えば夕食を18時にとり、朝食を8時にとったとします。 そうしますと夜間14時間の絶食時間があるわけです。
健康な人の肝臓には十分量の糖分が貯蔵されていますが、肝硬変では糖分の貯蔵が少なくなっていますから、 不足した糖分を補うために筋肉が破壊されてしまいます。
そこで就寝前に夜食をとって、夜間に栄養不足にならないようにするのが、夜食療法です。
1日の総カロリーは2000キロカロリーのままで、約200キロカロリーの夜食をとるのがよいのです。
おにぎりでもいいし、クッキーでもよいのですが、おすすめは肝不全用経口栄養剤でしょう。
肝不全用経口栄養剤は、必須アミノ酸であるBCAA(分岐鎖アミノ酸)を多く含み、 その他に糖質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく含んでいます。

肝臓病教室

医師・看護師・薬剤師・管理栄養士が、肝臓病の診断・治療・予防・薬・食事・生活などについてお話をします。
肝臓病の患者さん、ご家族の方、肝臓病について詳しく知りたい方、どなたでもご参加いただけます。
年に3回程度、定期的に開催いたしますので、皆さまお誘い合わせの上、ぜひお越しください。

詳細や開催スケジュールについてはこちらをご覧ください。

イベント情報:肝臓病教室

早期の食道がん・胃がん・大腸がんに対する内視鏡的治療

おなかを切らずに治療する/内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

転移のリスクがほとんどない早期がんの場合は、内視鏡を用いて“おなかを切らずにがんを切りとる”、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」という治療が可能です。
胃は温存されるため食生活への影響はほとんどなく、患者さんへの負担が少ないメリットがあります。1週間ほど入院が必要となりますが、治療2日後より食事が始まります。特に大きな痛みを伴うことは稀ですが、出血や穿孔(胃に穴があく)の偶発症に注意をしながら経過をみていきます。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の流れイメージ

①がんの周囲をマーキングする
②下層部に薬剤を注入し腫瘍を浮き上がらせる
③マークに沿って高周波メスを使い病変周囲の粘膜を切開
④粘膜下層の線維や血管などを剥離しながらがんを剥ぎと取ります
⑤切り取った病変は病理検査へ
⑥止血して終了

切除前

切除後

病理標本

慢性肝炎・肝硬変の治療

慢性肝炎、肝硬変、肝がんは別々の病気ではなく、肝臓の炎症が持続し線維化(肝臓が破壊され、線維が増えて硬くなっていくこと)が進行することによって起こってくる一連の病気です。
日本では、その原因の多くはB型、C型肝炎ウイルスです。最近は非アルコール性脂肪肝炎やアルコール性肝障害の比率も増加傾向にあります。肝硬変のように肝臓の線維化が強くなるほど肝がんが発生しやすくなります。

EUS-HGS

以前はC型肝炎の治療としてインターフェロン注射が行われていましたが、副作用が強く、効果も十分とはいえませんでした。2014年からC型慢性肝炎、肝硬変に対する飲み薬の治療が開発され、ほぼ100%の患者さんのC型肝炎ウイルスを体内から完全に消すことができるようになりました。C型肝炎ウイルスの駆除により肝がん発生率も低下します。この薬は副作用がほとんどないため高齢者、他の病気を持った患者さんもつかうことができます。
B型肝炎、肝硬変の患者さんからB型肝炎ウイルスを完全に消すことは、現在の医学ではまだできません。しかしインターフェロン注射や核酸アナログという飲み薬でほぼ100%、肝炎を落ち着かせることができるようになりました。これらの治療により肝炎が治まり、肝がん発生率も低下します。

肝がんに対する内科的治療

肝細胞がんに対しては外科的治療と内科的治療があります。
がんの進行度と肝機能を考慮して、各々の患者さんにあった最良の治療をさせていただきます。

経皮的ラジオ波焼灼療法 (RFA)

RFAは超音波を見ながら細い針をがんに刺し、約100℃の熱でがんを焼く治療です。3cm以内、3個以下のがんの治療に適しています。ラジオ波で焼けた部分のがんは完全に死滅する根治性の高い治療です。

RFA
RFA

肝動脈化学塞栓療法 (TACE)

カテーテル治療は足の付け根の動脈から細いカテーテルを挿入し、肝動脈までカテーテルの先端を進めて治療する方法であり、肝動脈化学塞栓療法 (TACE)、肝動注化学療法などがあります。 抗がん剤を肝動脈に注入した後に細かいゼラチンスポンジで塞栓するTACEが主流です。
これらは肝細胞がんが肝動脈から栄養されることを利用した治療であり、多発、再発する肝細胞がんに対しても繰り返しの治療が可能です。

RFA
RFA

全身薬物療法

全身薬物療法は飲み薬や点滴で薬を投与する治療です。他の臓器に転移がある患者さんや腫瘍数、腫瘍量が多くRFAやTACEが適さない患者さんに施行されます。ここ数年間で分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの多数の強力な薬物が開発され、大きく進歩しました。

放射線療法

放射線療法は体に負担が少ない治療であり、高齢患者さんや他に病気を持っている患者さんにも施行が可能です。肝細胞がんに集中的に放射線をかける定位放射線治療ができる最新の放射線装置を当院は有しています。

linac

胆・膵疾患に対する内視鏡的治療

胆・膵内視鏡検査は、「超音波内視鏡(EUS)」「内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)」の2つを軸にして行われています。当院でも多くの胆・膵内視鏡を行い、早期診断、適切な治療を行っています。

超音波内視鏡(Endoscopic Ultrasound:EUS)

超音波内視鏡(EUS)は、内視鏡の先端に超音波(エコー)端子をもつ特殊な内視鏡です。ラジアル型(図1a)とコンベックス型(図1b)の2種類ありますが、当院では治療応用可能なコンベックス型を使用して、観察検査・治療を行っています。
超音波内視鏡は、膵臓および胆管を観察するために開発され、膵腫瘍や胆管病変の観察を行います。また、観察だけでなく、穿刺針により組織を採取する「超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-fine needleaspiration):EUS-FNA」という生検も可能です。
EUS-FNAにより膵がんなどの確定診断が可能であり、適切な治療方法を選択することができます(図2)。

超音波内視鏡
eus-fna

超音波内視鏡下胆道ドレナージ

ERCPによる胆道ドレナージが困難な症例については、超音波内視鏡を応用することにより、胃や腸などの消化管を経由して胆道ドレナージを行うことが可能です。
当院でも数多くの超音波内視鏡下胆道ドレナージを行っています。超音波内視鏡下胆道ドレナージに関しては、多くの症例で痛みを伴わず体外にチューブ類が出ないことが特徴です。

超音波内視鏡下胆管胃吻合術(EUS-guided hepaticogastrostomy:EUS-HGS)

超音波内視鏡下に胃から肝内胆管を穿刺し、胃内へ胆汁をドレナージする方法です。十二指腸に狭窄があり、ERCPや後述するEUS-CDSが困難な場合に有効なドレナージ法です。
拡張した肝臓内の胆管を穿刺針で穿刺し、金属製ステントもしくはプラスチックステントを挿入します。( 図3)

EUS-HGS

超音波内視鏡下胆管十二指腸吻合術(EUS-guided choledochoduodenostomy:EUS-CDS)

超音波内視鏡下に肝外胆管( 総胆管) を十二指腸から穿刺し、ドレナージする方法です。
十二指腸から金属製ステントを挿入する方法で、遠位胆管( 十二指腸側の胆管) に狭窄がある場合に有効です。( 図4)

EUS-HGS

超音波内視鏡下ランデブー法(EUS-guided rendezvous technique:EUS-RV)

ランデブー法は、胆管の出口である十二指腸乳頭部にアクセスが可能で、ERCPでのドレナージが困難な症例で行われます。
肝内胆管や総胆管を穿刺し、ガイドワイヤーを穿刺部位から十二指腸内へ誘導します。内視鏡をERCP鏡に交換し、ガイドワイヤーがでた乳頭部からカテーテルを胆管内に進め、ドレナージを行う方法です。良性疾患によく行われます。( 図5)

EUS-RV

難治性総胆管結石に対する内視鏡治療

多くの総胆管結石は、ERCPにより治療可能です。しかしながら、2センチを超える大きな結石や硬い結石では、通常の内視鏡治療では除石が困難な場合があります。

電気水圧衝撃波胆管結石破砕術(EHL)

当院では、ERCPを用いて大きな結石や胆管内で詰まった状態の結石に対して、電気水圧衝撃波胆管結石破砕術(EHL)を行っております。
EHLにより、低侵襲であり完全な除石が可能です。(図6)

EUS-RV

消化器内科 スタッフ紹介

松井 茂 (まつい しげる)

診療科 消化器内科
役 職 部長 副院長
専門分野 消化器疾患一般・肝疾患
資格・認定 日本内科学会認定総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医・指導医
日本肝臓学会認定 肝臓専門医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医

日本消化器病学会関東支部・評議員
日本肝臓学会東部会・評議員
日本消化器内視鏡学会関東支部会・評議員

橋本 哲 (はしもと さとる)

診療科 消化器内科
役 職 主任部長
専門分野 消化器疾患一般
特に消化管疾患に対する内視鏡診断と治療
資格・認定 日本内科学会認定総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医・指導医・学会評議員
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医・指導医・学術評議員
日本肝臓学会認定 肝臓専門医

中寺 英介 (なかでら えいすけ)

診療科 消化器内科
役 職 部長
専門分野 肝疾患・消化器疾患一般
資格・認定 日本内科学会総合内科専門医・内科医
日本肝臓学会肝臓専門医・指導医
日本消化器病学会消化器病専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医

西垣 佑紀 (にしがき ゆうき)

診療科 消化器内科
役 職 医長
専門分野 消化器疾患一般  ピロリ菌感染症
資格・認定 日本ヘリコバクター学会・ピロリ菌感染症認定医

倉岡 直亮 (くらおか なおすけ)

診療科 消化器内科
役 職 医長
専門分野 胆・膵疾患に対する内視鏡診断・治療・化学療法
資格・認定 日本内科学会認定総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医

氏原 哲郎 (うじはら てつろう)

診療科 消化器内科
役 職 医長
専門分野 消化器内科一般
資格・認定 日本内科学会認定 総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医

酒井 駿 (さかい しゅん)

診療科 消化器内科
役 職 医員
専門分野 消化器内科一般
資格・認定 日本内科学会認定 内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医