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検査成績表の解説

検査成績表の解説

検査成績表の解説に記載してある疾患名は代表的なものです。健診はスクリーニング検査です。異常がみられた場合は精密検査を受けてください。健診結果に異常がなくても症状が現れた場合は、医療機関を受診してください。

検査成績表の解説(PDF)


基準値(正常域の値)変更一覧(PDF)

メタボリックシンドローム

[メタボリックシンドロームの診断基準]
 腹囲(ウエスト周囲径) 男性85cm以上 / 女性90cm以上に加え、
 1~3のうち2項目以上が該当する場合・・・【 該当 】
 1~3のうち1項目に該当する場合・・・・・・・【 予備軍該当 】
  1. 空腹時血糖 110mg/dl以上
  2. 中性脂肪 150mg/dl以上 又は HDLコレステロール 40mg/dl未満
  3. 収縮期血圧 130mmHg以上 又は 拡張期血圧 85mmHg以上

BMI

国際的な肥満の指標であるBMI(Body Mass Index)は、体重(㎏)÷身長(m)²の値です。
基準値は18.5~24.9です。22のとき高血圧症・脂質異常症・肝障害等の有病率がもっとも低くなるとされています。しかし、BMIには内臓脂肪が表れにくいという欠点があるため、メタボリックシンドロームの判定基準には腹囲が用いられています。

聴力

低音域(1000Hz)と高音域(4000Hz)の聴こえ方の検査です。高音域は年齢と共に聴こえにくくなる傾向があります。聴力が低下した時は耳の疾患によることがありますので、耳鼻咽喉科で精密検査を受けてください。

血液一般

項目 解説
赤血球数
血色素量
ヘマトクリット
MCV・MCH・MCHC
血清鉄
赤血球は主要成分であるヘモグロビンが酸素を細胞へ運び入れ、二酸化炭素を運び出す働きをします。
ヘマトクリットは血液中の赤血球の割合を表します。
MCV(赤血球の体積)・MCH(赤血球のヘモグロビン量)・MCHC(赤血球中のヘモグロビン濃度)・血清鉄は貧血のタイプを分類するのに役立ちます。低値を示す場合のほとんどが「貧血」を意味します。高値(多血症)は血液の粘性が増し、血流が悪くなります。
網状赤血球 成長過程の赤血球で、造血が低下しているときは減少し、造血が亢進しているとき(溶血性貧血や鉄欠乏性貧血治療中など)は増加します。
血小板 血液を凝固させる作用を持つ血球成分で、低値の場合は血液が固まりにくいため出血傾向となり、止血に時間がかかるようになります。高値の場合は血栓症の原因となり心筋梗塞や脳梗塞などの危険性が高くなります。
白血球数
血液像
高値の場合、細菌感染や炎症性疾患、白血病などが疑われます。白血球が減少すると身体の防御反応が低下し、感染しやすくなります。極端に増加したり低下した場合は精密検査が必要になります。
白血球は5つの重要な分画(血液像)から構成されています。通常、各分画は一定の比率で存在しています。異常が発生するとその比率に変化が現れたり、異常な細胞(Blast・Pro・Myelo・Meta・At.Lym)が現れたりした場合は精密検査が必要になります。

炎症反応

項目 解説
 血 沈  血沈は各種感染症、膠原病、心筋梗塞、ネフローゼ症候群、慢性肝炎、肝硬変、胆のう炎、悪性腫瘍、多発性骨髄腫などで高値(促進)を示します。赤血球増多症、無フィブリノゲン血症、高度悪液質、血管内凝固症候群(DIC)などで低値(遅延)を示します。
 R F  慢性関節リウマチを診断する検査です。膠原病、肝硬変でも陽性のことがあります。
CRP 炎症時や組織崩壊時に陽性となります。膠原病、感染症、悪性腫瘍で増加します。

血清学(TPHA・RPR)

梅毒感染の有無及び既往を調べる検査です。

血圧

収縮期(最大)血圧140以上、拡張期(最少)血圧90以上は高血圧です。高血圧の程度に応じて、食事療法、運動療法、薬物療法などの治療が必要になります。血圧が低くても、めまいなどの自覚症状が無ければ問題ありません。

糖検査

項目 解説
尿 糖 尿糖とは血液中のブドウ糖が尿中に漏出したものです。血糖値が160~180mg/dl以上になると尿中に糖が漏出してきます。尿糖が陽性(+)の場合、糖尿病が疑われます。
血 糖 血糖とは血液中のブドウ糖のことです。空腹時血糖が高値の場合、糖尿病、膵炎、肝炎などの疑いがあります。低値の場合、肝硬変やインスリノーマの疑いがあります。
ヘモグロビンA1c ヘモグロビンA1cは、過去1~2か月間の血糖の平均値を表しています。
高値(6.5以上)の場合、糖尿病や腎不全の疑いがあります。低値の場合は肝硬変、溶血性貧血などが疑われます。

脂 質

項目 解説
総コレステロール
中性脂肪
LDLコレステロール
HDLコレステロール
sd-LDL
non-HDL
LDLコレステロールは「悪玉コレステロール」、HDLコレステロールは「善玉コレステロール」と呼ばれています。
総コレステロール・中性脂肪・LDLコレステロールは高値の場合、動脈硬化に基づく虚血心疾患や脳卒中の要因となります。低値の場合、栄養障害などが疑われます。
HDLコレステロールは虚血性心疾患、脳血管疾患の発症と逆相関があります。いずれも食事療法、運動療法、禁煙が基本ですが、程度によっては薬物療法も必要になります。
悪玉コレステロールと呼ばれているLDLにも種類があり、特に小型LDL(sd-LDL)は普通のLDLに比べて酸化しやすくなります。酸化したLDLこそが動脈硬化の原因となると言われています。
総コレステロール値からHDLコレステロール値を引いた値がnon-HDLです。食事の影響を受けないことから動脈硬化の指標となります。より正確に脂質の状態を調べられます。

アディポネクチン

アディポネクチンは日本人によって発見されたホルモンです。男性の平均値は8.3μg/ml、女性は12.5μg/mlです。アディポネクチンの値が4μg/ml以下になると、糖尿病、心筋梗塞、がん、メタボリックシンドロームになる危険性が高まると言われています。

心臓脳血管リスク検査(LOX-Index)

超悪玉コレステロールLABと超悪玉コレステロールの担い手であるLOX-1を測定・解析し、心筋梗塞・脳梗塞の発症リスクを調べます。別冊子「LOX-index」をご覧ください。

BNP

BNPとは心臓を守るために心臓(特に心室)から分泌されるホルモンです。心不全など心臓の機能が低下して心臓への負担が大きいほど多く分泌され数値が高くなり、検査・治療指針が決まっています。

喀痰細胞診

痰の中に含まれる細胞を顕微鏡で検査します。主として肺がんの発見を目的におこないます。判定基準は子宮体部細胞診の項をご覧ください。

腎機能

項目 解説
尿素窒素
クレアチニン
eGFR
タンパク質が分解して最後に残るもので腎臓から排泄されますが、腎臓の機能が正常の30%以下に低下すると上昇してきます。腎炎、腎不全、心不全、尿崩症、脱水などの疑いがあります。
尿素窒素は食餌性因子や尿量の影響を受けることがあります。
クレアチニンは筋肉量に影響されるため、年齢や性別で数値が変動することがあります。
eGFRはクレアチニン値を性別・年齢で補正したものです。eGFRが60未満の場合、慢性腎臓病(CKD)として管理が必要です。
電解質 血液中の電解質(ミネラル)のバランスをみる検査です。脱水や下痢、薬剤の影響などで変動することがあります。

尿 酸

尿酸は核酸の構成成分の1つであるプリン体の最終代謝産物で腎臓から排泄されます。血液中の尿酸が高い状態(高尿酸血症)が続くと、痛風関節炎や痛風腎を起こしやすくなります。

尿検査

項目 解説
比重
PH
たん白
潜血
ウロビリノーゲン
尿ケトン体
沈渣
腎臓、尿管、膀胱、尿道などの状態を検査します。
比重は尿の濃さを表す指標です。
PHは尿の酸性度を表します。
蛋白は尿中にタンパク成分が含まれているかどうかの反応を見る検査です。
潜血は血液成分が含まれているかどうかの反応を見る検査です。
ウロビリノーゲンは肝臓でつくられる胆汁の成分である「ビリルビン」が変化したもので、肝疾患、胆道系疾患、溶血などの疑いがあります。
尿ケトン体はブドウ糖の代わりに脂肪が分解されたときに生じる老廃物です。糖尿病などが疑われます。沈渣は尿を遠心分離機にかけて、上澄みと沈殿物に分離し、沈殿物の中に含まれる細胞を顕微鏡で調べます。

肺機能検査(スパイロ検査)

肺に出入りする空気の量や速度の測定などを行うことで肺の換気機能を調べます。1秒率の低下はCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など、換気障害がおこる疾患が疑われます。

便潜血

便に血液が混じっているかどうかを調べます。1回でも陽性の場合、主に消化管の潰瘍やポリープ、がんなどからの出血が疑われます。内視鏡やX線検査などの精密検査が必要となることがあります。

肝機能

項目 解説
総ビリルビン 総ビリルビンが高値の場合、肝疾患、溶血性疾患、胆道系疾患が疑われます。
AST(GOT)
ALT(GPT)
γ-GT(γ-GTP)
GOTとGPTは筋肉など多くの臓器に存在する酵素で、高値の場合は肝炎、肝硬変、アルコール性肝障害などの肝疾患、胆道系疾患の疑いがあります。単独で高い場合などは必ずしも肝臓の障害でない場合もあり、心筋梗塞が疑われることもあります。
CHE CHEは肝硬変など肝臓の障害では低値に、脂肪肝では高値になります。
HBs抗原・抗体
HCV抗体
HBs抗原は陽性の場合、B型肝炎ウィルスに感染していることを示し、HBs抗体が陽性の場合、ウィルスに対する抵抗力があることを示します。HCV抗体が陽性の場合、ウィルスの感染又は感染の既往を示します。

理学的所見

甲状腺やリンパの腫大、心臓や肺の雑音、腹部の臓器の腫大や腫瘤、下肢の浮腫、発疹の有無などをみます。

安静時心電図

心電図検査では心臓を動かす電気信号を体の表面でとらえて、波形として記録する検査です。「PQRSTU」の波形の繰り返しで表され、心臓のどの部分にどのような異常が起きているかを知ることができます。主な所見は以下のとおりです。
※ 症状がある場合には医療機関を受診してください。

項目 解説
時計回転
反時計回転
心臓自体が左右どちらかに回転(ねじれ)している事をいいます。単なる「ねじれ」であれば病気ではありません。
洞性徐脈 脈拍が1分間に49以下のものをいいます。
頻脈 脈拍が1分間に100以上のものをいいます。緊張していると脈が上昇しますが、貧血・発熱・甲状腺疾患で上昇することもあります。
左軸偏位
右軸偏位
心臓内の電気の流れが右側・左側に偏って流れることをいいます。左軸偏位は肥満者・妊婦・老人にしばしば見られ、右軸偏位は若い人にしばしば見られます。
高電位
低電位
心電図の波形の高低差が大きい事をいいます。健康な人でも心臓を取り巻く筋肉が厚い場合に起こることもあります。
不完全右脚ブロック
完全右脚ブロック
心臓の興奮の命令を伝える経路の1つに右脚と左脚があり、右脚の伝導に時間がかかる状態のことをいいます。年齢と共に起こり、心配のないことが多いです。

その他生化学

項目 解説
総蛋白
アルブミン
肝硬変、慢性肝炎、悪性腫瘍などで高値を示し、ネフローゼ症候群などで低値を示します。アルブミンは総蛋白のうち最も多くを占めるたんぱく質で、膠質浸透圧を維持し、栄養状態や肝障害の判定をするのに役立ちます。
A/G比 (アルブミン/グロブリン比)栄養不良、ネフローゼ症候群、肝疾患などで低値を示します。
TTT 肝疾患、慢性感染症、膠原病などで高値を示します。
ZTT 肝疾患などで高値を示します。
ALP 肝疾患、胆道系疾患、骨疾患、甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍、妊娠などで高値を示します。
LDH 肝疾患、悪性腫瘍、血液疾患、心筋梗塞などで高値を示します。

膵機能(アミラーゼ)

アミラーゼは膵臓や唾液腺に含まれる酵素の一種です。膵炎、膵がん、耳下腺炎などで高値を示します。

腫瘍マーカー

悪性腫瘍(がん)が進行すると普段はほとんどみられない酵素やたんぱく、ホルモンなど特殊な物質が血液中で増加することがあります。これらを腫瘍マーカーと呼び、スクリーニング検査として用います。ただし、がんがあっても検出されなかったり、がん以外の疾患でも増加することがあります。各腫瘍マーカーにより疑われる代表的な疾患は以下の通りです。

項目 解説
AFP 肝がん、卵巣がん、精巣がん、胃がん、肝硬変、慢性肝炎など
CA19-9 膵臓がん、胆道がん、胃がん、大腸がんなど
CEA 胃がん・大腸がんなどの消化器がん、肺がん、卵巣がん、乳がん、肝硬変など
PSA 前立腺がん、前立腺炎、前立腺肥大症など
CA15-3 乳がん
CA125 卵巣がん、子宮がん、子宮内膜症など
SCC 肺がん、食道がん、子宮がんなど
NSE 肺がんなど

上部消化管(血液検査)

項目 解説
ペプシノゲン 胃がんへと進行する可能性が高いかどうかを予測します。低値(陽性)の場合は胃がん、萎縮性胃炎、悪性貧血などが疑われます。
ピロリ菌抗体 ピロリ菌は胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因となります。陽性の方は消化器内科に除菌治療をご相談ください。除菌治療は保険適用ですが一定の条件がございます。
胃がんリスク判定 ピロリ菌抗体検査とペプシノゲン検査を組み合わせて、胃がんになりやすいか否かのリスクを分類します。バリウム検査や内視鏡検査のような直接胃がんを見つける検診ではありません。

A群:ピロリ菌陰性、ペプシノゲン正常です。胃の病気になる可能性は低いと考えられますが皆無ではありません。定期的に胃の検査を受けることが推奨されています。

B群:ピロリ菌陽性ですが、ペプシノゲン正常です。ピロリ菌感染はありますが、胃粘膜の萎縮は進んでいない状態です。消化器内科をご受診ください。

C群:ピロリ菌陽性で、ペプシノゲン陽性です。ピロリ菌感染はありますが、胃粘膜の萎縮も進んでいる状態です。消化器内科をご受診ください。

D群:ピロリ菌陰性ですが、ペプシノゲン陽性です。胃粘膜の萎縮が進んでピロリ菌が住めなくなったためにピロリ菌抗体価が陰転した、胃がんリスクの高い状態です。消化器内科をご受診ください。

E群:ピロリ菌除菌済ですが、定期的な経過観察が必要です。
便中ピロリ菌抗原 ピロリ菌は胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんの原因となります。陽性の方は消化器内科に除菌治療をご相談ください。除菌治療は保険適用ですが一定の条件がございます。

甲状腺検査

甲状腺とは気管前部の喉のあたりに位置するホルモンを分泌する器官です。TSH・FT3・FT4の3種類のホルモンを調べることで、甲状腺の異常を調べることができます。

項目 解説
TSH 高値の場合、橋本病など甲状腺機能低下症、TSH産生腫瘍などの疑いがあります。低値の場合、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症の疑いがあります。
FT3・FT4 高値の場合、バセドウ病などの甲状腺機能亢進症の疑いがあります。このときTSHは低値になります。低値の場合、橋本病など甲状腺機能低下症などの疑いがあります。このときTSHは高値になります。

骨検診

項目 解説
DEXA法 X線を使って腰椎や大腿骨頚部など骨折しやすい場所の骨塩量(骨密度)を調べます。基準値は80%以上です。70%未満は骨粗鬆症が疑われますので、整形外科をご受診ください。
超音波法 踵骨の骨内伝播速度(SOS)調べます。基準値は1501m/sです。1478m/s以下の方は骨粗鬆症が疑われます。当院にて精密検査をご希望の場合は、糖尿病・内分泌内科をご受診ください。

眼科検査

異常があった場合は、自覚症状がなくても眼科での精密検査を受けてください。

項目 解説
視力 矯正視力は眼鏡やコンタクトレンズで補正した視力を表示しています。
眼圧 眼の内部の圧力の強さで、眼圧が高いと緑内障が疑われます。高値を示さない場合(正常眼圧緑内障)もあります。
眼底検査 眼底カメラで網膜、血管、視神経などの状態を直接観察する検査です。動脈硬化、眼底出血、緑内障、白内障や、糖尿病や高血圧など眼底に変化をもたらす疾患の状態も観察できます。

胸部X線

肺がん・肺結核・肺炎・肺気腫・気管支炎など呼吸器疾患や心拡大・胸部大動脈瘤などの心臓・大動脈疾患、脊柱などの状態を調べます。主な所見は以下のようになります。

項目 解説
線状、索状影 太さが1~2mmの細い陰影を線状、2~3mmのやや太い陰影を索状影といいます。炎症性の変化で起こります。
胸膜肥厚 肺を包む胸膜が厚くなった状態です。過去の胸膜炎、肺感染症などが考えられます。
ブラ、のう胞影 肺胞の壁の破壊や拡張によって、隣接する肺胞と融合した大きな袋になったものをいいます。これが破れると自然気胸といった病気が起こります。
結節影 2~10mm未満の丸い陰影。過去の肺結核、肺腫瘍等の場合に見られます。
心陰影の拡大 心臓の陰影の幅が胸の横幅の50%よりも大きくなっています。肥満、心不全、心臓弁膜症などの場合に見られます。
大動脈蛇行 加齢などのために動脈が硬くなることにより起こる状態です。動脈硬化や動脈瘤の可能性があります。
大動脈石灰化影 大動脈にカルシウムが沈着しています。動脈硬化などの場合に見られます。

上部消化管(バリウム・胃カメラ)

項目 解説
X線 造影剤(バリウム)を飲み、発泡剤で胃を膨らませてX線撮影をおこないます。食道がん、食道憩室、食道静脈瘤、食道炎、胃がん、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、十二指腸潰瘍など食道・胃・十二指腸潰瘍の病変がないか調べます。
内視鏡 内視鏡を使用し、食道がん、食道憩室、食道静脈瘤、食道炎、胃がん、胃炎、胃潰瘍、胃ポリープ、十二指腸潰瘍など食道・胃・十二指腸潰瘍など食道・胃・十二指腸の病変がないか直接見ることができます。

腹部超音波

超音波を使用して腹部の状態を調べる検査です。対象となる臓器は肝臓・胆のう・膵臓・脾臓・腎臓・腹部大動脈で、腫瘤や結石などの有無、大きさ等を調べます。主な所見は以下のようになります。

項目 解説
脂肪肝 肥満などが原因となります。食事療法、運動療法により生活習慣の改善に努めてください。
肝のう胞 液体のたまった袋のようなものが肝臓の中にできる状態です。症状がなければ治療を要するものではありません。
肝血管腫 多くは良性で基本的には治療は必要ありませんが、他の腫瘍との鑑別のため精密検査が必要なものもあります。
胆石 胆汁の成分が固まってできる結石で、症状がなければ必ずしも治療の必要はありませんが、経過観察が必要です。
胆のうポリープ 胆のうの壁にできる隆起性病変で、コレステロールによる良性のものがほとんどです。大きさが10mm以下で表面が滑らかなものはがんの可能性は低いとされますが、経過観察が必要です。
膵腫瘍 良性から悪性まで様々な種類の腫瘍があります。ただちに精密検査を受けてください。
脾腫 脾臓の最大径が10cm以上の場合を脾腫といいます。軽度な脾腫は治療の必要はありませんが、精密検査が必要な場合もあります。
腎結石 腎臓内にカルシウムやシュウ酸などが結石したものです。血尿や背部の痛みなど症状がある場合は治療、精密検査が必要となります。
腎のう胞 腎臓内に1個又は数個ののう胞ができるもので、多くは治療の必要はありません。稀に極端に大きくなったり、多発して痛みなどの症状が出たり、腎機能低下に進む場合は専門医を受診する必要があります。
腎腫瘍 良性から悪性まで様々な種類の腫瘍があります。ただちに精密検査を受けてください。
腹部大動脈石灰化 血管壁にカルシウムなどが沈着し血管が固くなる、動脈硬化です。
腹部大動脈瘤 腹部大動脈が部分的に大きくなる病気で、通常は20mm程度の大動脈が30mm以上に膨らんだ状態です。

肝硬度検査
(超音波エラストグラフィ)

超音波で肝臓の硬度を調べます。肝臓の線維化が進展すると組織の硬度が増します。当健診センターではShare wave speed 1.36m/s以下を線維化ステージ「F0」で正常値とし、1.84m/s 以上で中等度以上の線維化ステージ「F2」となりますので、消化器内科をご受診ください。2.14m/s以上では肝硬変が疑われます。

婦人科検査(乳がん・子宮がん)

子宮頸部細胞診の判定基準(ベセスダシステム)

  結果 略語 推定される病理診断 従来のクラス分類
扁平上皮系 陰性 NILM 非腫瘍性所見、炎症 Ⅰ、Ⅱ
意義不明な異型扁平上皮細胞 ASC-US 軽度扁平上皮内病変疑い Ⅱ~Ⅲa
HSILを除外できない異型扁平上皮細胞 ASC-H 高度扁平上皮内病変疑い Ⅲa~Ⅲb
軽度扁平上皮内細胞 LSIL HPV感染、軽度異形成 Ⅲa
高度扁平上皮内病変 HSIL 中等度異形成
高度異形成
上皮内がん
Ⅲa
Ⅲb
扁平上皮がん SCC 扁平上皮がん
腺細胞系 異型腺細胞 AGC 腺異型または腺がん疑い
上皮内腺がん AIS 上皮内腺がん
腺がん Adenocarcinoma 腺がん
その他の悪性腫瘍 other
malig
扁平上皮がん

子宮体部細胞診・喀痰細胞診の判定基準(クラス分類)

項目 解説
クラスⅠ 正常
クラスⅡ 炎症を認めるが悪性の疑いはない。
クラスⅢa 異型細胞を認めるが良性と思われる。再検査を要す。
クラスⅢb 悪性を考慮する異型細胞を認める。再検査を要す。
クラスⅣ 悪性が強く疑われる。精密検査を要す。
クラスⅤ 悪性と判定できる。精密検査を要す。
HPV検査 HPV(ヒト・パピローマ・ウィルス)はごくありふれたウィルスで、細かく分類すると100種類以上のタイプがあります。このうちいくつかのタイプが子宮頸がんの原因となります(高リスク型HPV)。
高リスク型HPVに感染してもほとんどは数か月~数年のうちにHPVは排除されます。
何十人に一人あるいは何百人に一人の割合でHPVが住み着いてしまい(持続感染)、何年後あるいは何十年後に子宮頸がんになります。つまり、高リスク型HPVに感染しないと子宮頸がんにはなりませんが、感染しているからといって全員が子宮頸がんになるということではありません。

画像診断検査

項目 解説
脳MRI MRI(磁気共鳴画像)とは強い磁力を利用して体の臓器や血管を撮影する装置です。撮影した画像をコンピュータで処理することで頭の中の構造を3次元画像で作り出すことができます。脳梗塞や、脳腫瘍、脳出血など早期発見に有効な検査とされています。
脳MRA MRIと同じように強い磁力を利用して頭部の血管の様子を詳しく立体画像化する検査方法です。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤を発見するのに有効な検査とされています。
VSRAD アルツハイマー型認知症では脳の海馬傍回付近に萎縮が見られることがわかっています。VSRADとはMRIを用いて脳の海馬傍回付近における脳の萎縮の度合いを検査するものです。VOI萎縮度が2.0以上の場合は、念のため「物忘れ外来」「老年化」「神経内科」などで精密検査を受けてください。
VSRADはあくまで海馬傍回付近の萎縮を客観的に評価する検査です。結果が悪くてもアルツハイマー型認知症とは限りません。
頸動脈MRI 脳梗塞の原因になる頸動脈プラーク(血管内の脂汚れ等)をMRIで検査し早期発見する検査です。
骨盤内MRI 骨盤腔をMRI検査することで男性はがん発症率の高い前立腺がんを、女性は子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がん、卵巣がんを早期発見する検査です。婦人科の病気は心配だが内診に抵抗がある方におすすめの検査になります。
肺CT CT(コンピュータ断層撮影)はX線を利用して身体の断面を撮影する検査です。胸部X線検査では発見することのできない5mm程度の小さながんを発見でき、肺がん診断率が高くなります。また、肺気腫やその他の胸部の疾患についても詳しい情報を得ることができます。
PET/CT PET/CT検査とは正常細胞より3~8倍も多くブドウ糖を摂取するがん細胞の特性を利用した検査です。FDGというブドウ糖に微量の放射線放出物質をつけた薬剤を体内に注射し、薬剤が、がん細胞に集まるところを画像化することで、がんの有無や位置を調べます。ただし薬剤の排出経路である腎臓、膀胱、尿管は薬剤が集積してしまうので、診断が困難な場合があります。
頸動脈エコー 超音波を利用した検査の一つで頚部の血管を映し出します。脳梗塞につながりやすい頸動脈の狭窄を見つけることができ、動脈硬化の指標となる血管壁の肥厚の程度も調べられます。
心エコー 超音波を利用して心臓を画像化してみることができます。心房、心室、心筋の壁、弁の異常など映し出すことができます。

動脈硬化検査(CAVI)

あお向けに寝た状態で両腕・両足首の血圧と脈波を測定します。①動脈の硬さ(CAVI) ②動脈のつまり(ABI) ③血管年齢の3つを調べます。
動脈硬化が進んでいるほど「CAVI」の値は高くなり、9.0を超えると脳動脈か心臓の冠動脈に動脈硬化を発症しているという研究結果もあります。
足の動脈の詰まりを表すのが「ABI」です。腕の血圧と足首の血圧の比を見て足の動脈の詰まりを診断するというもので、値が0.9未満であると詰まっている可能性が高く、値が低いほど重症であるということになります。
健康な方のCAVIの平均値と比べることで血管年齢がわかります。CAVIが9.0未満であっても血管年齢が高い方は動脈硬化の進行が速いと考えられます。