2025年4月から上部消化管内視鏡検査は原則84歳まで
1960年代より開始された胃がん検診は本邦で広く普及し、胃がん死亡率低下に寄与してきました。
今回、2024年2月 に厚生労働省『がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針』において胃がん検診の対象は「受診を特に推奨する者を50歳以上69歳以下の者とする」と示されました。
これは検査に伴う有害事象(偶発症など)も報告されていることから、受診することによって得られる有益性と不利益を考え合わせての推奨です。
特に80歳以上の受診者では、内視鏡検査に伴う心拍数増加や血圧上昇など心臓や脳血管に与える悪影響や、誤嚥による肺炎などが増加する傾向が報告されています。
そのため胃がん検診の対象年齢を70歳までとしている自治体や、検査受診可能な年齢に上限を設けている健診施設が増加しています。
一般に10mm未満の微小な胃がんが、生命を脅かすような進行胃癌となるまでには5年から10年の経過があるとされています。ご高齢の方で、現在の体調に問題がないようであれば、検査に伴う偶発症による不利益の方が大きくなることが十分起こりえます。
これらを考慮して、当施設では2025年4月から上部消化管内視鏡検査は原則84歳までとさせていただきます。また80歳から84歳の方については、健診としての有益性・安全性が担保されておらず、健診として積極的に推奨できる検査ではないため持病や全身状態などによっては医師の判断で検査を中止させていただく場合があります。
何卒、皆様の安全のためご理解とご協力をいただけますようお願いいたします。
2025年2月13日
健診センター長